外壁塗装には、「中塗り」と呼ばれる塗装工程があります。「中塗りとは、何のこと?」「外壁塗装に中塗りは必要?」など、外壁塗装の中塗りについて疑問をお持ちの方も多いと思います。
このコラムでは外壁塗装で使われる中塗りについて紹介していきます。
外壁塗装の中塗りとは?
外壁塗装の中塗りとは、塗装工程の一つ。下塗り後、上塗り前の塗装工程を「中塗り」と言います。
外壁塗装の流れ
▼下塗り
▼中塗り ←ココ
▼上塗り
一般的に外壁塗装の中塗り作業は、塗装業者とお客様との打ち合わせで決めた仕上げ用塗料を使います。
(但し、一部の高級シリコン塗料、フッ素塗料や無機塗料の場合、専用の中塗り塗料があります。)
仕上げ用塗料を使った中塗り作業で、外壁全ての塗装を行い、各塗料メーカーによる規定の乾燥時間を経て、次の工程である「仕上げ塗り」の作業が行われます。
中塗りは、外壁塗装において非常に重要な塗装工程です。中塗りを塗装せずに、外壁塗装を美しく仕上げることも、塗料の性能を担保することもできません。
―外壁塗装の流れ―
▼足場設置前の現場確認
▼足場の設置
▼高圧洗浄
▼下地処理(補修)
▼養生
▼塗装・下塗り
▼塗装・中塗り ←ココ
▼塗装・上塗り
▼完了検査
▼足場の解体
▼完成
「中塗り・上塗り」=「上塗り2回」
戸建ての外壁塗装の場合、一般的に中塗りと上塗りには“同じ塗料”を使用します。
そのため、外壁塗装の工程を説明する際、「中塗り・上塗り」ではなく、「上塗り2回」と表現することもあります。「中塗り・上塗り」と表現しても、「上塗り2回」表現しても、塗装内容は同じ。表現方法が異なるだけです。
外壁塗装に中塗りが必要な2つの理由
外壁塗装に中塗りが必要な理由は、以下の2つです。
理由① 美しく仕上げるため
外壁塗装を美しく仕上げるためには、中塗りが絶対に必要です。
中塗りの段階で凹凸等のない平らでなめらかな下地をつくっておくことで、上塗りがキレイに塗れるため、より美しく仕上げることができます。
基本的に中塗りと上塗りは“同じ塗料”で塗装をします。「わざわざ中塗りと上塗りの2回に分けなくても、1回で美しく仕上げられないのか…?」と思われるかもしれませんが、車の塗装もそうですが、一回では難しいです。
塗料は粘り気があるため、1回で多量の塗料を塗装しようとするとムラになります。プロの職人でも1回で多量の塗料を美しく塗り上げるのはまず無理です。だからといって少量の塗料で薄く塗装すれば、見た目は美しく仕上がったとしても性能に何らかの問題が生じるはずです。塗装しなければならない塗料の量は明確に決まっているのです
外壁塗装工事で使われる塗料の全てには、各塗料メーカーによって定められた仕様があって、現場で施工する職人は、基本的にその塗装仕様に従って施工しています。
しかし、外壁下地の状態が良くなく、塗装面がキレイに整えられていない場合は、外壁塗装下地をしっかり整えてから、規定の塗り付け量よりも下塗り塗料を多く塗ったり、塗装回数を増やしたりして、しっかり下塗り作業を行ってから、中塗り作業(上塗り塗装1回目)を行います。
ちなみに、ほとんどの場合が、中塗り作業を行った段階での外壁塗装の仕上がり具合は、あまり良くありません。(当たり前の事ですが。‥‥)
その理由は何故かと言いますと、下塗りの上に上塗り塗料を塗ると、下塗り材の中に上塗りの塗料が少し吸い込んでしまっている状態ですから、光沢や色味が本来の塗装仕上がり感よりも良くないからです。
こういった理由から、中塗りを行った後、もう一度同じ塗料で丁寧に仕上げ塗り(上塗り2回目)をしますと、今度は下塗り塗料による吸い込みが完全に無い状態なので、本来その塗料で発揮できる色や艶が完全に表現できるので、塗装の仕上がり具合がとてもキレイになります。
また、外壁塗装の色や艶といった事も重要ですが、もう一つ大事な事があります。
それは、中塗りだけで塗装を仕上げた場合、塗り残しや塗り忘れがある事があるので、 そういった不具合部分をしっかり仕上げ塗装する事によって、塗装仕上げの精度を上げる事ができると言った理由もあります。
理由② 塗料の性能を発揮させるため
- 外観の美しさを保つ
- 家を守る
- 防汚性・防水性・遮熱性など(※備えている機能性は塗料によって異なります)
といった塗料の性能を耐久年数の間しっかり持続させるためには、中塗りの塗装が必須です。
なぜならば、ほとんどの塗料製品が「中塗り⇒上塗り」と2回に分けて塗装することで性能を発揮できる設計となっているためです。
※基本的に中塗りと上塗りは“同じ塗料”で塗装をします。
より具体的に解説をすると…
中塗り(決められた塗料の量を塗装)
↓ (決められた乾燥時間を守る)
上塗り(決められた塗料の量を塗装)
ほとんどの塗料製品が「中塗り⇒上塗り」と2回に分けて塗装することを前提として、「塗装する塗料の量」や「乾燥時間」が定められています。これらを守って塗装をすることで、塗料は性能を発揮するのです。
仮に中塗りを省けば、塗料はその性能を十分に発揮することはできないでしょう。場合によっては、早々に塗膜が剥がれるなどの不具合が発生することもあります。ちなみに、不具合は塗装後すぐに発生するとは限りません。塗装後2~3年してから発生することもあります。
「中塗りの色」と「上塗りの色」は異なる色が良いの?
「中塗りと上塗りは“異なる色”の塗料を使用するのが良い。“同じ色”の塗料を使用すると、(中塗りと上塗りの)両方を塗装したかどうかが傍目にはわかりにくいため、中塗りを塗装しないなどの手抜き工事をされるリスクがある(手抜き工事をされても気づかない)」といった主張を目にしたという方も多いのではないでしょうか。
結論として、中塗りと上塗りは“同じ色”にすることをオススメします。
なぜならば、中塗りと上塗りを異なる色で塗装をすると、以下のデメリットがあるためです。
- 塗料が性能を十分発揮できない可能性がある
一般的に塗料製品は中塗りと上塗りに“同じ色”の塗料を塗装することで、性能が発揮できる設計となっています。そのため、異なる色の塗料で塗装をした場合、塗料の性能を十分に発揮できない可能性があります。
- 外壁の劣化が進行した時に、見た目が非常に悪い
劣化が進行し、上塗り塗装が薄くなったり剥がれたりして中塗りの色が見えてしまうことがあります。上塗りとは異なる中塗りの色が見えると、当然、美観が大きく損なわれます。
- 塗料代が余計にかかる
中塗りと上塗りを同じ色で塗装した場合と比べて、中塗りと上塗りを異なる色で塗装した場合には余計に塗料代がかかる可能性があります。
中塗りを確実に塗装してもらうためには、どうすればいい?
そもそも中塗りは外壁塗装において非常に重要な塗装工程のため、信頼できる塗装業者であれば、中塗りを省くようなことは絶対にしません。とはいえ、先述の通り、戸建ての外壁塗装の場合、一般的に中塗りと上塗りには“同じ色の同じ塗料”を使用するため、「依頼をした塗装業者が、ちゃんと中塗り塗装をしてくれるだろうか…?」といった心配をされる方もいるでしょう。
確実に中塗りを塗装してもらうための対策として、以下の2つが有効です。
- 工事工程表を確認をする
工事工程表とは、塗装業者が作成する外壁塗装工事のスケジュール表。“いつ・どの工程の工事をするのか”が明記されています。確実に中塗りを塗装してもらうためには、まずは、この工事工程表を確認するのがオススメです。
具体的には、工事工程表に、
“「中塗り」の記載があるかどうか(もしくは「上塗り2回」の記載があるかどうか ※1章参照)”
を確認してみてください。記載がある場合には、工事工程に組み込まれているため、まず間違いなく中塗りを塗装してもらえるはずです。工事工程表に記載のない場合には、早めに塗装業者に確認をするのが良いでしょう。
- 日々、工事の進捗を確認する
日々、外壁塗装の工事がどのぐらい進捗しているのかを塗装業者に確認するのも有効です。工事中、在宅している場合には、実際に現場に顔を出して、自身の目で進捗を確認するのも良いでしょう。進捗を確認していれば、仮に塗装業者が中塗りを省こうとしたりすれば、敏感に気づけるはずです。塗装業者からしても、進捗を気にしている施主(消費者)を前に中塗りを塗装しないなどの手抜き工事をしようとは、まず思わないはずです。
中塗りと上塗りの間隔はどのぐらいあけるべき?
外壁塗装の流れは、
中塗り
↓ 乾燥
上塗り
となりますが、「中塗りを塗装した後、上塗りを塗装するまでに、どのぐらいの乾燥時間が必要なのか」が気になっている方もいるかもしれません。
ずばり、乾燥時間は各塗料製品によって異なります。
乾燥時間が知りたい場合は、
・塗料製品のパンフレット
・各塗料メーカーのHP|製品ページ
などを見れば、確認できます。
ただし、季節や天候、塗装の状態などによっては、乾燥時間を調整することもあります。たとえば夏などは乾燥が早く、乾燥時間を短縮して作業を進めることも。そのため、パンフレット等に記載されている乾燥時間と異なるなどして疑問に感じることがあった場合には、塗装業者に確認をしてみるのが良いでしょう。
まとめ
外壁塗装には、「中塗り」と呼ばれる塗装工程があります。下塗り後、上塗り前の塗装工程を「中塗り」と言います。
中塗りは、外壁塗装において非常に重要な塗装工程です。中塗りを塗装することで、美しく仕上げることができ、塗料も性能を発揮できるのです。
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