外壁塗装で色の他に悩む事の一つとして上げられるのが「艶あり、艶無しのどちらにするべきか」という事です。外壁塗装でいう艶とはキラキラと光を反射するような塗料を艶がある塗料、光がほとんど反射しない物が艶なしという表現をします。また艶あり、艶なしのだけではなく、七分艶、五分艶などつやを少し落とした塗料も販売されています。
ここではつや有り、つや無しのどちらにすれば良いのか、それぞれどういったメリット、デメリットがあるのかをお伝えしていきたいと思います。
- 艶消し塗料の概要
- 艶有りとの違い
- 火災保険の活用で費用が軽減できるかも!?
艶消しの基本情報
まずは外壁塗装の塗料における艶あり、艶消しの基本的なことについて書いていきます。ちなみに艶消しの事を艶なし、マット仕上げなどと表現する場合もあります。
艶に関しては明確な定義があるわけではない
実は艶がある、ないに関しては、艶ありというのはこういうこと、艶消しというのはこういう事、のような明確な基準が存在していません。一度は昔に艶に関する定義を定めようとはしたのですが、その定義が外壁塗装職人間でうまく浸透せずに今現在、艶に関する定義ははっきりと定まっているものではありません。しかし、艶ありの状態、艶なしの状態はだいたいはこういうもの、という目安は存在します。
外壁塗装によってお家を高級感のあるシックな印象にしたいのなら、艶消し塗料を選択するという手があります。
艶を抑えた塗料を使うことで、塗りたてのピカピカ感を抑え、外壁や屋根を落ち着いた印象に仕上げることが出来るのです。そのため、和風住宅などは艶を抑えた塗料の方が相性が良い場合があります。
しかし、艶消し塗料と言われても、実際にどれほど見た目に違いがあるのか、メリットやデメリットはあるのか、価格はどれだけ変わるのかなど、詳しくはよくわからないと思います。
そもそも「艶消し塗料」とは?
そもそも艶消し塗料とはどんなものなのか。まずはその簡単な仕組みを説明し、実際に艶あり塗料とどう違うのかについて写真を交えながら解説します。
艶消し塗料とは「光沢率5%以下」の塗料!
そもそも「艶消し塗料」とはどういったものを指すのでしょうか。
艶消し塗料は「艶なし」、「フラット仕上げ」、「マット仕上げ」とも呼ばれ、光をあまり反射しない落ち着いた印象の塗料であるといえます。
しかし実は、艶の度合いについて公的に定められた基準があるわけではありません。
そこで塗料業界では一般的に、外壁面に光を反射させて光沢度というものを測定しています。
簡単に説明すると、平らに塗装された面に60度の角度から光を当て、そのうちどれくらいの強さの光が正反対の方向に反射されるかを測定する方法があります。
このときの光沢度(グロス値ともいいます)によって、その塗料の艶の度合いが変わってくるのです。一般的に光沢度が70%以上の塗料が艶有りとされ、艶消し塗料の光沢度は5%以下となっています。
さらに「七分艶」、「三分艶」などの塗料もあり、それぞれ約60%・35%の光沢度を持っています。
艶消し塗料は多くの場合、ポリエステルやアクリルなどの微粒子を艶消し剤として塗料に混ぜることで塗膜表面にミクロレベルの凹凸を作り出しています。その微細なざらつきが光を拡散させ、光沢度を低下させるのです。
また、塗料によっては三分艶までしかないものや艶有りしかないものも存在します。塗料を選ぶ際は、艶消しがあるのかしっかりと確認しておきましょう。
艶あり塗料とどこが違う?
艶消し塗料は艶あり塗料とどこが違うのでしょうか。
ありの方の塗料は塗りたてのピカピカ感が感じられる一方、艶消し塗料は光沢のない落ち着いた仕上がりになっているのが分かります。
見比べてみてわかる通り、艶ありの場合は新築同様のピカピカな仕上がりに、艶消しの場合はモダンな印象を感じる落ち着いた仕上がりになっているのが分かります。
それでは次章から、艶消し塗料を選ぶメリット・デメリット、知っておくべき知識などについて勉強していきましょう。
結局、「艶あり」と「艶消し」はどっちがいいの?
住宅の外壁を艶ありにするか艶消しにするか。ハッキリ言ってしまえば、それは好みの問題ということになります。
あなたは我が家を外から見てどんな印象にしてみたいと思いますか?どんな家でどんな暮らしをしたいと思いますか?
ここでは艶あり塗料と艶消し塗料を比較し、どちらにするか選ぶ際の参考になるような情報を紹介していきます。
和風住宅などをシックで落ち着いた印象に仕上げたいなら艶消し塗料!
もしもあなたが艶あり塗料を選んだ場合、お宅の外壁は塗り替え後のピカピカとした印象になります。気分も晴れやかに心機一転、また新しい生活を始めていくことができるでしょう。
一方で、人によっては艶がありすぎると「下品だ」「落ち着きが無い」といった印象を持ってしまうこともあります。サイディングのツルツルな表面では、少し艶を抑えた「7分艶」などにするという選択肢もあります。
また、純和風住宅や砂壁調など意匠性の高い外壁には艶の強い、いわゆる全艶塗料などは合いません。3分艶、艶消しなどであれば落ち着いた印象に仕上げる事ができます。
マイホームを高級感のあるシックな印象に仕上げたい場合は艶消し塗料、または艶を抑えた「3分艶」などを選ぶことをおすすめします。
性能を重視するなら艶あり塗料!
艶消し塗料にした場合に性能に違いはあるのか。当然ながら、気になるところではあると思います。
結論から申し上げると、性能の差は確かに存在します。
先ほど説明したように、艶消し塗料は添加剤によって表面をざらつかせ、光を拡散することで光沢を抑えています。そのため表面に汚れやホコリが付着しやすくなってしまうのです。
また添加剤という不純物が入っている分、僅かではありますが耐久性も落ちてしまいます。
ただ知っておいてもらいたいのが、艶ありにしたとしても性能差が現れるのは最初の2~3年だけだということです。
それ以降は性能の差も少なくなっていきますし、なにより塗りたてのピカピカ感も徐々に無くなっていきます。一方艶消し塗料の場合は、経年劣化による見た目の変化は殆ど無いと言っていいでしょう。
また塗料の中には、艶消ししかない種類の製品も存在しています。そのような塗料であれば艶消し処理による耐久性の低下はありません。
または元々の性能に優れた高グレードの塗料(シリコン系以上のもの)を選べば、耐久性の低さはそこまで気にならなくなります。
艶消し塗料の価格は艶ありの1.1倍程度
やはり気になるのが価格。通常の艶あり塗料に比べて、艶消し塗料の価格はどのくらい違うのでしょうか。
一般的に、艶消し塗料の価格は艶ありの1.1倍程度です。少しではありますが価格が上乗せされている理由としては、先ほど説明したように、艶消し塗料が通常の塗料をベースとして艶を抑える処理を施しているからです。
では実際の製品を参考に、価格の差を見ていきましょう。
下の表をご覧になって分かる通り、同じ商品でも艶消しと艶ありの価格の違いは1.1倍程度となっています。3分艶であっても同様で、やはり価格差は1.1倍程度。そこまで大きな差は無いことが分かります。
メーカー | 商品名 | 艶 | 価格(税抜) |
---|---|---|---|
日本ペイント | 水性シリコンセラUV(標準色) | 有 | 12,400円 |
無 | 14,100円(1.14倍) |
※価格は主な通販サイトの価格を調査
艶消し塗料で塗り替える前に知っておきたい4つの心得
それでは、実際に艶消し塗料で外壁塗装を行う際に知っておきたい心得を伝授させて頂きます。
ネットでのお見積りや業者へ相談する際の参考にしていただければと思います。
色見本は太陽の下で見るべし!
実際に外壁の色を決める際には業者から色見本表を見せてもらったり、PC上でカラーシミュレーションをすることになると思います。この時に注意していただきたいのは、部屋の中と屋外では光の当たり方が全く違うということです。
落ち着いた色を選んでいざ塗り替えてみたら、想像していたよりも明るい色に仕上がってしまっていた・・・・・・そんな事態に陥りかねません。
実際の外壁の模様に近い形状の下地に塗装して、屋外で様々な角度からチェックしてもらうことをおすすめします。凹凸のある下地のほうが乱反射で光沢を感じやすくなるため、艶の度合いをより正確にチェックすることが可能です。
汚れやすい立地条件では注意が必要!
性能の高いシリコン系などの塗料を使っていても、どうしても汚れやすさの差は出てきてしまいます。大通りに面した外壁などでは、その点にも注意を配る必要があるでしょう。
マイホームが汚れやすい場所に立地している。けれど艶のある塗料はイヤ……。
そんな場合は、5分艶や3分艶などの艶調整塗料を選ぶと良いでしょう。光沢をほどよく抑えつつ、完全に艶を消した塗料を選ぶよりも汚染を和らげることができます。
職人の技術力を見極めよう!
何より頭に入れておいて欲しいのは、「艶を調整した塗料は扱いが難しい」ということです。
艶を調整した塗料の場合、光沢がうまく出なくなってしまう「艶ムラ」という現象が通常より起きやすくなってしまいます。職人が塗料の性質をただしく理解し、メーカーが定めた手順にしっかりと従って施工を進めていれば問題はありません。そのため、しっかりとした技術と経験、プロ意識をもった業者かどうか判断することが重要です。
あらかじめ不具合の知識を少し学んでおき、営業担当者に「艶消し塗料にすると艶ムラがおこりやすいと聞いたのですが……」などと質問をしてみましょう。
その際に「きちんとした対策を説明してくれるか」、「メーカー推奨の手順に従って施工をすると約束してくれる業者か」などが判断材料となります。この時に説明がおざなりになっていたり、はぐらかすような態度をとったりする業者の場合は注意が必要です。
ここで事前知識として不具合を防ぐための正しい施工方法を簡単に紹介しますので、見積り時に質問をする際の参考にして下さい。
計測器と撹拌機を使って塗料を混ぜる
艶消し塗料は多くの場合、メーカーの工場で艶消し剤を混ぜてから出荷されています。
しかし塗料によっては現場で職人が艶消し剤を入れて撹拌することを前提としたものもあり、その際に撹拌不足が起こってしまうと艶ムラなどの不具合が置きてしまうのです。
撹拌不足が生じる原因は主に、「塗料の重さをちゃんと測っていない」「電動撹拌機を使わず、手で混ぜている」の2つです。
計測器で正確な量を測り、電動撹拌機によって入念に塗料を撹拌することが必要なのです。
「あまりしつこく聞き過ぎると、相手にいい思いをされないのではないか?」と不安に思う方もいるかもしれません。
しかし、優良な業者の最大の目的は少しでもお客様の理想に近付けることですので、施主様の質問には快く応えてくれると思います。
そして何より住宅塗装というのは決して安い買い物ではありません。終わってから後悔することのないように、契約する前には疑問点を全て解消しておきましょう。
明るめの色を選ぶとなおよし
最後にもうひとつ。
これは好みの問題になってくるのですが、艶を抑えた塗料を塗る場合は少し明るめの色を選ぶといいとされています。これは艶消し塗料は光をほとんど反射しないために、暗い色を選ぶとやや重たい印象になってしまうからです。
反対に全艶の塗料では、少し暗めな色を選ぶことで落ち着いた印象を与えることができます。
外壁を赤など鮮やかな原色系にしたい場合でも、艶を抑えた塗料にすることによって、周囲の景観に違和感なく溶けこませることが出来るでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
ここまで、艶消し塗料とは何か、メリットやデメリット、塗替えの際の注意点まで説明してきました。高級感と風情を感じさせる和風住宅や、景観に馴染む落ち着いた印象の家、あなただけの個性と上品さを併せ持つモダンな家。艶消し塗料を使って外壁塗装をすることで、理想の暮らしに近づくイメージは持てましたでしょうか。
これを読むあなたが、新しく生まれ変わるあなたの家で、どんな暮らしをしたいのか。この記事が、検討する際のひとつの参考となるものであれば幸いです。
業者と密に相談しながら、イメージ通りの家に仕上げていきましょう!
外壁・屋根塗装に関する事なら「アイキョウ」にお気軽にご相談下さい